テーマ36 管理力者が実務で直面する矛盾
■管理職者としての真価を発揮する
矛盾という言葉は、中国の「韓非子」の故事に
基づくものといわれております。
その内容は、楚の国に矛と盾を売り歩く商人がいて、
矛を売る時は
「この矛はとても鋭いので、どんな堅い盾でも突き通す」と言い、
盾を売る時は
「この盾はとても堅いので、どんな鋭い矛でも突き通せない」と言った。
それを聞いた客の一人に
「それではその矛で、その盾を突いたらどうなるんだ」
と聞かれ返答に困ってしまったという話です。
管理職者は、
「部下指導時における厳しさと優しさ」、
「部下の意向と会社の意向」、
「鬼になるべき時と仏の心」、
「リスクを覚悟で取り組むべき事項と守るべき事項」、
「突発的な受注と残業抑制」、
「自分自身の我欲と会社や部下への奉仕の精神」
など職場においていろいろな矛盾に直面します。
矛盾した課題への対応方法も管理職者としての
真価が問われるところでもあります。
矛盾した課題が降りかかってきたときの
基本的な対応方法を学習しておくことが必要です。
■日頃から仕事の目的を会社全体の枠組みの中で考える
矛盾した問題への取組み方法の一つとして、
仕事の目的を会社全体の枠組みの中で
考えるということが重要な視点となります。
自分の言動に一貫性を持たせるためには、
常日頃から仕事の目的を常に意識し、
仕事の目的達成を踏まえた思考をすることが重要です。
しかし、一つの仕事の目的達成のために、
他のいろいろなことにマイナス面がでるというのも問題です。
常に会社全体の中での自部署のあり方、動き方を考えるという、
全体的な視点を持つことが必要です。
また、問題が複雑になればなるほど、
職場の人間関係や自分の評価に目がいく人もいますが、
あくまでも仕事の目的達成、仕事の遂行に集中する姿勢が大切です。
■管理職者としての「鬼手仏心」
「鬼手仏心」という言葉があります。
外科医は手術のとき,残酷なほど大胆にメスを入れますが、
それは何としても患者を救いたいという温かい純粋な心からである。
という意味合いになります。
管理職者として職場の業務遂行にあたっては、
何としても目標を達成する、
常に部下の成長を考えるという姿勢が、
ものごとを判断するときの基本姿勢となります。
このような基本姿勢をきちんと持ってさえいれば、
矛盾した課題に直面した場合でも、
大きく判断が狂うことはありません。
人としての温かい心、善悪の基準、正義、誠実さ
といった言葉を自分なりに日頃から考えて、
身につけておくことも重要となります。
■考えて考えて考え抜く
「考えて考えて考え抜いて自ら目標を設定し結果をつくる」
というのが、管理職者の仕事、役割となります。
矛盾した課題に直面したときも、
考えて考えて考え抜くことが重要です。
考えることによっていろいろなアイデアが得られ、
可能性が広がります。
矛盾した課題に直面したときも、考えるよい機会ととらえ、
逃げずに取組み、解決していくことが、
管理職者としての幅を広げていきます。
世の中には「 ロジカル・シンキング」や
「ラテラル・シンキング」、
「インテグレーティブ・シンキング」
などいろいろな思考法について解説した本があります。
このような本に目を通しておくことも考えを深めるために有効です。
*ロジカル・シンキング
情報を決められた枠組みにしたがって整理・分析する
さまざまな手法を使うことによって、
複雑なものごとの因果関係を明快に把握したり、
問題に対する有効な解決策を導き出したりする思考方法。
*ラテラル・シンキング
前提を無くして水平方向に発想を広げる思考法。
例えば、斬新でユニークな発想でイノベーションを起こす、
あるいは既存のものを組み合わせて
新しいアイデアを生み出すといった考え方。
*インテグレーティブ・シンキング
「相反する二つの考え方を同時に保持し、
対比させ、二者択一を避けて、
両者のよさを採り入れつつ両者を上回る
新しい解決に導く思考方法。
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